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がん原遺伝子チロシンプロテインキナーゼSrc(Proto-oncogene tyrosine-protein kinase Src)は、ヒトにおいてSRC遺伝子にコードされる非受容体型チロシンキナーゼタンパク質である。がん原遺伝子c-Srcあるいは単にc-Srcとしても知られている。このタンパク質は他のタンパク質の特定のチロシン残基をリン酸化する。c-Srcチロシンキナーゼの活性の上昇は、他のシグナルを促進することによってがんの進行と関連していることが示唆されている。c-SrcはSH2ドメイン、SH3ドメイン、チロシンキナーゼドメインを含んでいる。 c-Srcは、細胞性Srcキナーゼ(cellular Src kinase)あるいはC末端Srcキナーゼ(C-terminal Src kinase)と混同してはならない。このタンパク質 (CSK) はc-SrcのC末端をリン酸し、Srcの酵素活性を負に調節する酵素である。c-Srcは非受容体型チロシンキナーゼの中で広く研究されている酵素である。 Src(サルコーマ〔sarcoma; 肉腫〕の短縮形であるため、サークと発音される)は、J・マイケル・ビショップとハロルド・ヴァーマスによって発見されたチロシンキナーゼをコードするがん原遺伝子である。この業績によってビショップとヴァーマスは1989年のノーベル生理学・医学賞を受賞した。c-SrcはSrcファミリーキナーゼと呼ばれる非受容体型チロシンキナーゼのファミリーに属する。 この遺伝子は、ラウス肉腫ウイルスのv-Src遺伝子に似ている。このがん遺伝子は胚発生および細胞成長を制御する役割を果たしている。この遺伝子にコードされているタンパク質はチロシンキナーゼであり、その活性はCskによるリン酸化によって阻害される。この遺伝子の変異は、結腸癌の悪性化に関与している。この遺伝子関して同じタンパク質をコードする2種類の転写変異体が見付かっている。 == 発見 == 1979年、J・マイケル・ビショップとハロルド・ヴァーマスは、正常なニワトリが''v-Src''と構造的に近縁関係にある遺伝子を含むことを発見した。この正常な細胞遺伝子は''c-src''(細胞性src; cellular-src)と呼ばれた。この発見は、がんが外的な物質(ウイルス遺伝子)によって引き起こされるというモデルから、細胞中に正常に存在する遺伝子ががんを引き起こすというモデルへと、がんに関する考え方を変化させた。現在は、ある時点において、祖先ウイルスがその細胞ホストの''c-Src''遺伝子を誤って組み込んだと考えられている。そのうち、この正常遺伝子は、ラウス肉腫ウイルス内で異常に機能するがん遺伝子へと変異した。がん遺伝子をニワトリに導入すると、がんが引き起こされる。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「Src (遺伝子)」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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